セウォル号の惨事当日、朴槿恵大統領の行跡と関連した記事を書いた日本の<産経新聞>の加藤達也前ソウル支局長が8日、情報通信網法の名誉毀損容疑で起訴された。そしてその後、国の内外で非難と反発が広がっている。民主主義の基本的価値観であるメディアと表現の自由を締めつけたのだから批判は当然だ。
今回のことはすでに国際的議論になっている。日本政府は公式に遺憾の意と強い懸念を明らかにした。アメリカも「表現の自由に対する広範な支持」と「韓国の関連法に対する懸念」を再確認するとし、今回の事態を注視しながら、韓国政府とも接触したと示唆した。日本はもちろん、海外の主要メディアも韓国の言論の自由に強く疑問を提起している。維新時代や軍事政権の時に韓国を見る目は、必ずこんな風だった。朴槿恵政府の時代錯誤的な世論統制の試みが、韓国の国家イメージを30〜40年前に墜落させたのだ。
それによる外交的損失も少なくない。今回のことで、日本は韓国を攻撃する良い材料を得ることになった。慰安婦問題など日韓関係の懸案は、片隅に押し退けられることになったし、アメリカなど国際社会の支持を得るにも、日本が優位な立場に立つ可能性が高い。日本は、この機会に日韓関係の難航している責任を韓国にまわそうとするだろう。韓国政府は、このような結果を念頭に置いていたのかと問わざるを得ない。
産経記者の起訴は、法理や判例、国際的な流れにも合わない。国連をはじめとする多くの国際機関が名誉毀損の刑事罰制度を廃止するよう勧告しており、廃止する国も増えている。最高裁も国の機関と公務員の業務に関連した疑惑提起は、名誉毀損に該当しないと明らかにしている。
今回のことが、政治的起訴との批判が出てくるのは、このような事情からである。その結果が今の国際的な恥である。名誉毀損は、被害者が望まない場合は、処罰しないときく。朴大統領は、国の恥さらしになる今回のことを、この辺で諦めなければならない。
【記事】
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/659284.html