「昨年7月、現代重工業海洋事業部Q204の前ヤード(作業場)で440V(ボルト)の電気分離作業中に電気爆発事故で手の甲と指、頭と首に重度のやけどを負った。当時、衝撃のために音がよく聞こえず、右の腕の感覚を失ってしまった」
現代重工業下請け労働者のチャン(仮名)氏は、作業中の事故なので、労災申請を検討するが、「考え直して欲しい」という会社(下請け)側の訴えに心が揺れた。労災申請は、元請との再契約で減点要因となるため、下請け(会社)の立場では、命がけで防ぐことになる。妻と幼い子供たちの生計の責任を負う者としては、選択の余地はなかった。仕事を続けるためには、会社の言う通りにする必要があったのだ。
しかし、数ヶ月が過ぎて、会社側の態度は急変した。全快の時まで、診療費と休業損失金を支給するという約束は守られなかった。事故当日から現在までに1000万ウォンを握らせたのが全てだった。さらに、会社の寮からも追い出された。つまり、会社を出て行けという話だ。暮らす方法が絶望的となり、家は破綻した。チャン氏は、仕事と健康、そして家族まで失った。
このように、造船、鉄鋼、建設プラントなどの労働集約的な産業分野では、制度的あるいは構造的なリスク要因のせいで、労働災害が頻繁に発生している。更に大きな問題は、ここで発生するほとんどの労災が、隠蔽(いんぺい)されているという点である。元・下請けの上下関係の中では、下請労働者は怪我をしても、一言もまともに言えないのが実情なのだ。
取材チームは去る14日、関係者に労災隠しについて長い時間、説明を聞いた。県事務局長は「2012年に蔚山東区庁非正規職センター、2013年に現代重工業元・下請け労組、2014年に人権委など4ヶ所で実施したアンケート調査の結果、「労災隠し」が平均で93%以上行われている」とし「それぞれが違う調査であったが、結果はほぼ同じだった」と述べた。続いて「労災処理した割合は、7%程度に過ぎず、現代重工業労組の調査結果では、3.7%で、さらに低下した」とし「労災隠しは元・下請けを問わず、韓国の労働者の90%が該当する」と強調した。
【記事】
http://www.newstomato.com/ReadNews.aspx?no=556543